RIKEN Beamlines at SPring-8

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BL19LXU 理研物理科学ビームラインII

概要

 BL19LXU は超高輝度光源である27m長真空封止アンジュレーターを有するビームラインである。光学ハッチには液体窒素冷却のSi (111)二結晶分光器、およびミラーが設置されている。ビームラインには直列に4つの実験ハッチがあり、第1から第3ハッチまでは、蓄積リング棟内に、第4ハッチは蓄積リング棟の外周側に隣接するW棟内に位置する。各実験ハッチでは、超高輝度X線利用実験および、次世代光源に向けた光学系や新しい測定法の開発が行われている。第1ハッチでは、非線形光学過程の基礎実験、硬X線光電子分光実験、表面からのイオン脱離過程等の研究が、また、第2ハッチでは、放射光同期フェムト秒パルスレーザーを用いた高速時間分解X線回折実験が行われている。第3ハッチは天井の高さ4.5 mのオープンハッチで大型機器の導入が可能となっており、放射光走査型トンネル顕微鏡、二光束干渉実験の他、X線自由電子レーザー利用推進研究のための基礎実験等が、第4ハッチでは超強パルス磁場を用いた磁気散乱実験等が行われている。

ビームライン光学系

 光源である27 m長真空封止アンジュレーター(周期長32 mm、周期数781)は、基本波のエネルギーを7.2 keVから18 keVまでカバーする。光学ハッチには、光源から43.2 mの位置にSPring-8標準型分光器がある。分光結晶にはシリコンが用いられ、Si 111ブラッグ反射により、7.2から18 keVおよび22 keVから37 keVまでのエネルギー範囲をカバーする。分光器のシリコン結晶はヘリウム冷凍機を用いた閉ループ液体窒素で間接冷却されている。光学ハッチの下流部には、一組の白金コート垂直跳ねミラー(長さは共に400 mm)も備えられており、高調波除去や垂直集光に用いることができる。上跳ねおよび下跳ねミラーはそれぞれ光源から46.80 mと47.95 mに位置する。光軸高さは、垂直跳ねミラー未使用時で1430 mmである。

エネルギー範囲 7.2 ∼ 18 keV (1st), 22 ∼ 37 keV (3rd) (Si (111))
エネルギー分解能 ~1× 10-4
光子フラックス ~2 × 1014 photon/s (@14 keV)
ビームサイズ (FWHM) 0.8 (V) × 1.5 (H) mm2 (EH2) (集光ミラー無しの場合)

表1 試料位置でのX線のパラメータ

実験ハッチ

各ユーザーは独自に開発した装置を実験ハッチに持ち込んで実験を行う。各ハッチの詳細は以下の通り。
•第3ハッチ: 大型装置を搬入可能なオープンハッチで、光源より約77 mの距離に位置しており、サイズは 5 (W) × 3.3 (D) × 4.5 (H) m3である。ハッチの温度はエアコンにより精密制御できる。また、チェーンブロックが設置されており、重量物をハッチ内に導入、セットアップする際に利用できる。
•第1,2,4ハッチ:これらの実験ハッチには、現在、高精度ゴニオメーター、フェムト秒パルスレーザー、超伝導マグネットが設置されているが、比較的小さな装置であれば これらのハッチの中にユーザーの装置を持ち込むことが可能である。ハッチサイズは第1,2ハッチが 5 (W) × 3.3 (D) × 3.3 (H) m3、第4ハッチが7 (W) × 6 (D) × 6 (H) m3である。(光源からの距離については、図1参照。)
•以下の装置・設備が利用可能である。
 o 光学定盤
 o APD, PIN フォトダイオード, シンチレーションカウンター, イオンチャンバー
 o ステッピングモータードライバーおよびコントローラー
 o NIMビン電源, カウンター,電流増幅器他.
 o 蓄積リングのRFに同期した信号が得られるタイミング回路系


図1 ビームラインの全体図(上)および光学ハッチの拡大図(下)


ビームライン ホームページ

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〒679-5148 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1
国立研究開発法人 理化学研究所 放射光科学研究センター
E-mail address: rikenblsc@spring8.or.jp