BL26B1&B2 理研構造ゲノムビームラインI & II

概要

BL26B1、B2は構造ゲノム研究によって供給される大量のタンパク質結晶サンプルに対し、立体構造解析のための回折強度データを迅速に収集することを目的に建設したビームラインである。自動サンプルチェンジャーSPACEの他、ビームラインおよび実験ステーションの装置を一括制御するソフトウェアBSSを開発し、X線の波長変更から検出器の設定、データ収集まで一貫した自動制御を行っている。さらにサンプル情報や実験データを統合するWebデータベースD-Chaの開発により、実験室とビームライン間の情報ネットワークを整備し、SPring-8外から送付された凍結結晶サンプルを受け入れデータ収集を行う、「SPring-8遠隔測定支援システム」が利用可能である。

ビームライン光学系

ビームライン光学系にはSPring-8偏向電磁石ビームラインの標準的な輸送チャンネルの構成を採用している。光学ハッチ内には定位置出射型Si二結晶分光器を配し、下流に設置した集光ミラーによって二次元集光を行う。集光ミラーは表面がRhコーティングされた擬似トロイダルミラーで、二結晶分光器で分光されたX線を実験ハッチ内の試料位置に集光することができる。

理研構造ゲノムビームライン光学系性能表

使用可能波長範囲 0.75 ~ 2.00 Å 多様な核種のMAD、SAD測定に対応
   Se, Au, Pt, Zn, Fe, Hg 他
   K吸収端: 26 Fe~ 37 Rb
   L吸収端: 72 Hf ~ 83 Bi
エネルギー分解能 ⊿E/E ~ 2x10-4 MAD、SAD測定の波長選択(peak、edge、remote)に対応
ビームサイズ 150 μm(FWHM) 一般的なタンパク結晶のサイズに適合
Photon Flux 5x1010 photons/sec/100mA @ 1Å タンパク結晶回折測定の露光時間:
   2 sec/deg(200m長リゾチーム結晶)
ビーム位置のずれ 10 μm以内 波長変更を伴う連続自動運転に適応

実験ステーション

 実験ハッチ内の機器はすべて遠隔操作可能な自動ステージ上に配置し、実験者が試料をサンプルチェンジャーに設置しハッチから退出した後は、再び立ち入ることなく連続実験を行う事ができる仕様になっている。実験架台にはスリット、シャッター等の光学危機の他、自動アッテネータ、水平スピンドル型κゴニオメータ、二次元検出器、サンプルチェンジャーが設置されている。BL26B1には2×2モザイクCCDと大型イメージングプレートの2機種を設置し、2台の検出器は実験スケジュールに応じて自動ステージにより交換可能である。また2007年度よりBL26B2ではCCD検出器を更新し、データ収集の効率化を図っている。

検出器性能表

検出器 CCD IP CCD
設置場所 BL26B1 BL26B1 BL26B2
製品名 Jupiter210 (Rigaku.) R-AXIS V (Rigaku) MarMosaic225 (Rayonix)
受光面積 210 × 210 mm2 400 ×400 mm2 225 × 225 mm2
ピクセル数 4096 × 4096 4000 × 4000 3072 × 3072
ピクセルサイズ 51.3 μm 100μm 73.2 μm
ダイナミックレンジ 216 220 216
速度(1秒露光時) 300 images/hour 60 images/hour 900 images/hour
カメラ長範囲 150mm ~ 320mm 180mm ~ 900mm 150mm ~ 900mm

その他利用可能な装置:
 ・低温窒素ガス吹き付け装置
 ・クライオシャッター
 ・XAFS測定用Siピンフォトダイオード検出器
 ・マルチチャンネルアナライザー

サンプルチェンジャーSPACE(SPring-8 Precise Automatic Cryo-sample Exchanger)

理研・播磨研究所にて開発したサンプルチェンジャーSPACEは、独自のねじ式サンプルピンを採用し、サンプル位置の再現性を保証している。サンプルピンは全長25mm、直径7mmのコンパクトなデザインで、材質はプラスチックである。サンプルトレイは面積75mm×75mmおよび高さ50mmのアルミニウム製ブロックで、サンプルピンを収納するためのネジ穴を52個配したデザインとなっている。市販のドライシッパーにて運搬や長期保管が可能である。サンプルトレイにはバーコードのステッカーを貼り個体をサンプル管理システムのデータベースにより管理している。


実験ハッチ内に設置したSPACEおよび軸動作概略図

SPring-8遠隔測定支援システム

SPring-8遠隔測定支援システムを利用したデータ収集の流れを以下に示す。ビームラインでの実験は、ビームタイムを前半の結晶スクリーニングと後半のデータ収集の2モードに分割して行う。

1. ユーザは実験室にて試料をトレイに詰め、SPring-8に送付する
2. トレイの実験スケジュールをインターネット経由でWebデータベースD-Chaに登録する
3. ビームラインではトレイのスケジュールをD-Chaからダウンロード
4. 昼間の内にすべての結晶スクリーニングを行う
5. 各試料のセンタリング情報(ゴニオヘッドの並進座標)はデータベースに記録される
6. データ収集に最適な試料をユーザがD-Chaを利用して選び出す
7. 夜間は複数試料に対する無人連続データ収集を行う
8. センタリングはスクリーニングの際に行ったゴニオ並進を自動再現する。


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