BL26B1&B2トラブルシューティングマニュアル
1.1 はじめに
検出器その他の機器にトラブルが生じたときの復旧方法を説明します。
検出器のトラブルを解決する場合、『IP サーバ』, 『IP 本体』, 『CPU AS』, 『CCDサーバ』, 『Jupiter210 コントローラ』, 『共通端末』等の用語を理解しておく必要があります。
ビームラインステーションでの各機器の配置を図1−1に示します。

表1−1 各機器の名称
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BL26B1 |
BL26B2 |
A |
Jupiter210コントローラー |
----- |
B |
共通端末 |
共通端末 |
C |
IPサーバー |
----- |
D |
CPU AS |
----- |
E |
CCDサーバー、レシーバー |
MX225サーバー |
IPサーバ
ビームラインステーションの机の下にあるパソコン(図1−1のC付近)でIPを制御する為のソフトウェアが常時起動されています。
パソコンには『IP Server』のラベルが貼ってあります。
CCDサーバ
ビームラインステーションの机の下にあるパソコン(図1−1のE付近)でCCDを制御する為のソフトウェアが常時起動されています。
パソコンには『CCD Server』のラベルが貼ってあります。BL26B1の場合はJupiter 210、BL26B2の場合はMAR 225です。
レシーバ
ビームラインステーションの机の下にあるパソコン(図1−1のE付近)でCCDの画像処理をする為のソフトウェアが常時起動されています。
パソコンには『Receiver』のラベルが貼ってあります。
IP本体
実験ハッチ内にある大型イメージングプレート検出器R-AXIS Vです。電源スイッチは本体背面(光軸下流側)にあります。

CPU AS
ビームラインステーションの机の上にある箱(図1−1のD付近)でIPサーバとIP本体の通信の仲立をします。
IPサーバとSCSIケーブルで接続されている為、IPサーバ用PCが起動している状態での電源のON/OFFは絶対にしないでください。
本体には『CPU AS』のラベルが貼ってあります。

Jupiter210コントローラ
モザイクCCD検出器、Jupiter210の電源および温度制御ユニットです。緑色のスイッチで電源のオン・オフを行います。

共通端末
コンソール切り替え器を利用して複数のパソコンと接続された端末(図1−1のB付近)で、
IPサーバの他にCCDサーバ、BLワークステーションに接続されています。
ディスプレイには『Common Terminal』のラベルが貼ってあります。

1.2 IP検出器復旧のフローチャート
- BSSを終了する
- 共通端末(Common Terminal)をIPサーバに切替える(1.6節参照)
- IPサーバをシャットダウンする
- IPサーバのシャットダウン確認後、パソコンの電源を切る
- CPU ASの電源を切る
- 実験ハッチ内にあるIP本体背面の電源スイッチを切る
- 10秒程度待ってからIP本体背面の電源スイッチを入れる
- CPU ASの電源を入れる
- IPサーバを起動し、ログインする(User/Password: rikenbl/bioxtal)
- BSSを起動すると、数秒後にIPのソフトが自動で起動するので、IPのソフトが起動したことを確認する
1.3 Jupiter 210検出器復旧のフローチャート
- BSSを操作してCCDサーバとの接続を切る(1.5節参照)
- 共通端末(Common Terminal)をCCDサーバPCに切替える(1.6節参照)
- CCDサーバPCをシャットダウンする(WindowsタスクバーのSTARTボタンから操作)
- 共通端末(Common Terminal)をレシーバ(Receiver)PCに切替える(1.6節参照)
- レシーバPCをシャットダウンする(WindowsタスクバーのSTARTボタンから操作)
- Jupiter210コントローラ(19インチラックの白い箱)の電源(緑色のスイッチ)を切る。
スイッチのラベルは「MAINS POWER」となっている。
- 10秒程度待ってから、Jupiter210コントローラの電源を入れる
- レシーバPCの電源を入れ、システムを起動する。共通端末で確認する(1.6節参照)。
- ログイン画面が出たら、「administrator」でログインする(パスワードなし、Enterキーを押すだけでよい)。
ログイン画面が出なければ次へ進む。
- ネットワークディスク再接続のダイアログが出たら、パスワード“osakana12" を入力し、 Sambaの再接続を行う。
- CCDサーバPCの電源を入れ、システムを起動する。共通端末をCCDサーバに切り替え、確認する(1.6節参照)
- ログイン画面が出たらadministratorでログインする。パスワードなし。
- BSSを操作してCCDサーバと接続する(1.5節参照)
1.4 MX225起動方法
- CCDサーバPCの電源を入れ、システムを起動する。
ログインネーム:marccd パスワード:marccd
- ターミナルにmarccdと入力し、Enterを押すとGUIが起動する。
- プルダウンメニューから、『Configure』→『Detector』を選択し、ダイアログを開く。

- 『Reboot』ボタンをクリックする。

- 『Question』ダイアログの『Reboot』ボタンをクリックする。

- 『Temperature』、『Pressure』、『Status』を確認する。

- プルダウンメニューから、『Acquire』→『Remote Control』を選択し、ダイアログを開く。

- 『Start』ボタンをクリックする。

- BSSを操作してCCDサーバと接続する(1.5節参照)
- BSSのプルダウンメニューから、『Settings』→『Servers』を選択し、ダイアログを開く。
- ダイアログ内で目的のサーバの行にある『Close』ボタンを押す。
- Statusが“Not Connect”になるのを待つ(CCDの場合1分ぐらいかかる)。
(再接続)
- 接続を再開する時は『Open』を押す。
- Statusが“Connect”になるのを待つ。
- 『Close』ボタンを押してダイアログを閉じる。
- Common Terminalのキーボードで、『Scroll Lockキー』を2回押すと、切り替えメニューが画面上に表示される。
- 矢印キーで目的のサーバを選択。
- Enterキーを押すと切り替えが行われる。
- 必要に応じてマウスを動かし、スクリーンセーバを解除する。
- BSSを操作してMSとの接続を切る(1.5節参照)
- 共通端末(Common Terminal)をBL_WSに切替える(1.6節参照)
- 画面下方のシステムメニューから、「必殺メイン」を実行する。
- 光学機器のGUIが終了したら、再度メニューから「おそうじ」を実行する。
- メニューからメインプログラムを再起動する。
- 最低5分間待機する(おそうじ後はMSは5分間接続を受け付けません)。
- BSSを操作してMSと接続する(1.5節参照)
ノズルの位置調整が適正でない可能性があります。
その場合はセンタリングしたクライオループとノズルの中心が合うように、手鏡を使ってノズル正面から観察しながら、
ノズルを固定しているXYZステージを動かして位置の調整をします。
それでも霜の付着が改善しない場合は、次節以降の別の原因が考えられます。
通常使用時に1ヶ月以上の連続運転で、冷凍機本体内もしくはノズル内で水分の凝結が起こり、窒素の流れが滞ることがあります。
その場合サンプルやノズルの先端への霜付着が起こり、また窒素発生装置前面にある窒素ガスの流量計の値が下がります。
正常時の窒素ガス流量の目安
クライオガス: 5.5 l/min
シースガス: 6.0 l/min
これを改善するには、一旦冷凍機の運転を止め、低温装置の設定温度を300Kにして数時間〜半日放置します。
流路に凝縮した氷が溶けると、窒素ガスの流量が回復します。
冷凍機の循環Heガスは通常使用で徐々に漏失するため、3ヶ月に一回程度充填する必要があります。
Heガス圧が減少すると冷凍機の能力が落ち、温度が下がらなくなります。
ノズル内部の温度は窒素発生装置前面の温度コントロールユニットで確認できます。
Heガスの圧力は窒素発生装置後面にある圧力計で冷凍機運転時に確認します。
正常運転時のHe圧力: 2.35 〜 2.40 MPa
(注)充填は必ず冷凍機運転時に行ってください。
- BL26ガスボンベスタンドに高純度Heガスボンベが保管されています。
- ボンベを開き、レギュレータおよびホース内部をHeガス置換する。
- 窒素ガス発生装置の背面にあるHeガス充填口のねじを外す。
- Heガスを少しずつ流しながら、ホースをHeガス充填口へ繋ぐ。
- 2次圧を、2.4MPa以上に調整する。
- He充填弁を少しずつ開き、圧力計の値が2.35〜2.40MPaになるように充填する。
- 充填後、He充填弁を閉めて、ホースを外す。
- Heガス充填口のねじを取り付ける。

videosrvが落ちた場合の復旧方法です。上から順番に試してみてください。
・BSSのタブを切り替える
・BSSのメニュバー"Settings"->"Servers"でvideosrvをopen
・ターミナルを開いて"videosrv & --v4l2" enter
・BSSの再起動
・PCの再起動