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BL38B1 理研構造生物学ビームラインI
概要
理研構造生物学ビームラインI(BL38B1)は主に溶液中のタンパク質、核酸やそれらの複合体などの生体高分子の構造解析を目的とした小角X線散乱(SAXS、Small-angleX-Ray Scattering)ビームラインである。実験ステーションは生体高分子のみならず高分子材料までの幅広いナノスケールでの解析に対応している。
光学ステーション
SPring-8偏向電磁石からの放射光を光源とし、偏向電磁石ビームラインの標準的な輸送チャンネルを採用している。集光ミラーは表面をRhコーティングしたトロイダルミラーを用いて二結晶分光器で単色化したX線を実験ステーション内下流に固定配置した2次元X線検出器の受光面で集光するようにアライメントされている。
理研構造生物学ビームラインI光学性能
利用可能エネルギー領域 | 約6.5 ~ 14keV (通常は12.4keVまたは10.0keVに固定) |
エネルギー分解能 | ΔE/E ~ 10-4 |
フラックス | ~ 1010 photons/sec/100mA |
ビームライン輸送系コンポーネント
モノクロおよびミラー配置の概念図
実験ステーション
実験ステーションには主に試料―検出器距離(300 – 3500 mm)を変更できる実験定盤と大面積2次元フォトンカウンティング検出器(DECTRIS PILATUS3X 2M)を設置している。入射X線は実験ステーション内に2台のスキャッタレススリットを設置してビームサイズの整形、寄生散乱の除去を行っている。実験定盤上面から単色X線ビーム高さは約335mmであり、実験定盤上には様々な試料ホルダーを設置することができる。
実験ステーション内景
利用実験
通常は生体高分子の散乱測定用にSEC(Size Exclusion Chromatography)-SAXSのためのオンラインHPLCと溶液フローセルを常設し、SEC-SAXSに適したX線エネルギー、カメラ長固定で運用している。
利用実験はSEC-SAXSに限定せず、溶液試料のWAXS(Wide-angle X-Ray Scattering)や生体由来物質のSAXS・WAXS/D(Wide-angle X-Ray Scattering and Diffraction)同時測定や材料科学分野における機能性材料のSAXS、WAXS/Dの構造解析研究にも用いられている。
BL38B1利用について
本ビームラインへの課題申請にあたり、以前のSAXS用BL45XUとは光源性能等が異なるため、目的とする実験が可能か(高度化を含む)判断をするために申請前にビームライン担当者との技術的な実施内容の相談をお願いいたします。