分光器の制御と波長スキャン

現在複数のプログラムが独立に動いている。

  1. Manual Control
  2. Tri
  3. Energy
  4. Egyscn

これらは共通のパラメータで運用されなくてはならない。
これらを一本化するには現状のソースコードは入り組んでいるため、暫定的にパラメータファイルの共通化をはかろうと考えている。

波長の決定は、Tn2軸の絶対パルス位置から求めている。>将来的にはエンコーダの読みとりを行なって、対処する。
ある特定のパルス位置が対応する波長がいくつになるかはいくつかの金属箔によるキャリブレーションが必要である。
99/05/20現在で、抑えてられている絶対値は、以下のとおり、($HOME/server/pxsrv/param.txt)

## Au L2 Edge
WVL 1st 30.47 207402 446856 462752
WVL 3rd 30.47 211592 459085 464160
## Pt L2 Edge
WVL 1st 31.65 191717 435116 451052
WVL 2nd 31.65 192811 453192 436629
WVL 3rd 31.65 195716 447261 452310
## Au L3 Edge
WVL 1st 35.75 141204 394003 410052
WVL 2nd 35.75 141590 412039 395629
WVL 3rd 35.75 145298 406323 411360
## W L3 Edge
WVL 1st 43.07 60984 320746 336778
WVL 2nd 43.07 61504 338754 322453
WVL 3rd 43.07 65151 333081 338134
## Cu K Edge
WVL 1st 50.86 -20241 243939 260026
WVL 2nd 50.86 -22488 261850 245553
WVL 3rd 50.86 -16187 256324 261284
## Ni K Edge
WVL 1st 56.71 -88122 185148 201252
WVL 2nd 56.71 -93390 203276 186879
WVL 3rd 56.71 -84043 197607 202560

分光器の角度と、絶対パルス位置から、Tn2の分解能1/10000 pulseをもとに計算する。しかし、その間の値のずれは、分光器の性能を反映したものである。

出射テーブルはLを使うのでなく、Tn1,Tn2を補間した値からもとめた角度を得、それに現時点でのLの値からの変化量として算出して、XAFSを測定するようにしている(プログラムegyscn)。

出射テーブルを作成するソフト(プログラムenergy)では大まかに決めたL値と現在の角度を元に、関数値として求めたLでTn1のパルス送りスキャンを行なう。したがって、L軸のずれなどは保証されない。角度範囲を決めた時点で一旦出射させ、その時点の値を初期値として行なう。

波長の計算は現時点のパルス値から角度を求め、波長を算出することになるが、どの吸収端を使用するか、どのように使うかは検討の余地がある。

まず、最も近い波長をもつ吸収端を参照点として決めるのが簡単で適当な方法である。しかし、吸収端のスキャンは50pulse程度で行なっておりその正確さは必ずしも左程ではない。

実際、1000ないしは100pulseのずれがあるとき、

AuL3 edge 35.65 > 1.03744 A
  35.74 > 1.03971
  35.75 > 1.03996 **
  35.76 > 1.04022
  35.85 > 1.04248
CuK Edge 50.96 > 1.38254 A
  50.85 > 1.38038
  50.86 > 1.38058 **
  50.87 > 1.38077
  50.76 > 1.37862

と、小数点第3ないし4位で若干のずれが生じる。これは、解析上では非常に微妙な値なのではあるが、厚みの最適化された金属箔を使うなど工夫してつめるべきであろう。しかし、分光器の精度の問題があるため、必ずしもこれほど精度良くきまることはない。早急にエンコーダ読みだしの安定化をはかる必要がある。

サンプルの吸収端を実際に測定するためには、いくつかのステップを踏まえなくてはならない。まず、本当にそのサンプル中に目論んだ異常散乱子が含まれているのかを判断する必要がある。

まず、大まかに吸収端の前後に光を設定し、交互にサンプルに導入してその可否を判定する。これには、マルチチャンネルアナライザーが有効である。

実際のスキャンを行なうためには検出器から上がってくるパルスの高さを弁別して、必要な蛍光線のみを計数してやらなくてはならない。このため、蛍光線がでる波長条件でマルチャンでスペクトルを集める。
入射光による散乱線が主基調をなすため、それと蛍光線のチャンネル数の比を求め、適当なウィンドウサイズを特定しておく。
パルスの極性を切替えて、こんどは、Discriminatorとスケーラで、カウントの差分を収集する。
なにがメジャーなのかによって比をとって得た、ウィンドウ幅をまず用いて測定を開始すれば良い。