XAFSの測定

目次


1. 試料と機器の配置

  1. 蛍光線を測定するために、Amptekシリコン検出器(以下Ampteck)を設置します。
    Amptekは通常ゴニオメータの奥においてあります。
  2. Amptekをchi軸に取り付けてあるレールに固定し、Amptekの電源を入れます。スイッチは電源ボックスの背面にあります。
  3. ディテクター(R-axis、Jupiter)保護のため、白色ランプをセットします。
    (白色ランプには鉛板が貼ってあります)
    ramp_hakusyoku_set.jpg (18638 バイト)

2. 蛍光スペクトル測定と波長の設定

  1. シャッターの開閉操作をするため、"Rapid auto_sp8"を立ち上げます。
  2. 波長を変更します。
    1. "Trichro"を立ち上げます。
      Trich Wavelength Window

    2. 波長を変更する前に、十分な強度が確保できていることを確認します。IC#1ピコアンメータの値が数十nAあれば十分です。無い場合はこちらを参照してください。

    3. アンジュレータ(挿入光源)のギャップ値を適切な値に変更します。
      手順を誤ると、小角散乱ステーションの実験に支障を来すので、事前にGAPの変更についてを確認してください。

    4. 波長は1stペアを対照(リモート)に、2ndと3rdペアを吸収端の波長の前後にセット します。(操作方法はこちら
      このとき、2ndと3rdの波長は2nd<3rdとなるようにしてください。

  3. まず、Ampteckに入る散乱の強度を調整します。この操作にはマルチチャンネル アナライザー(MCA)を使います。2ndと3rdのペアの波長を期待される核種の吸収端の前後に 設定して蛍光線のエネルギースペクトルを調べます。
    1. "Rapid auto_sp8"からシャッターを開けます。
      "Manual"→"X-ray shutter"で以下の窓を開きます。

      上図の状態でOKを押すとシャッターが開きます。

    2. MCAの"dead time"が10〜40となるように、Ampteckと結晶の距離、 アッテネーターを調節します。
      以下の表は目安です。

      波長 カウント(dead time)
      ピークより低エネルギー側 10〜20
      ピークより高エネルギー側 30〜40

      カウントが少ない場合は、結晶が正しくセンタリングできていないか、Ampteckの 向きが結晶を外していて蛍光を拾えていないかが考えられます。また、Ampteckと結晶の距離が不適切なのかもしれません。
      カウントが高い場合は、Ampteckを少し遠ざけるか、アッテネーターを挿入してX線の強度を落します。
       

    3. アッテネーターの挿入には、PC(bl45pxl)のデスクトップの"Attenuator.vi"を立ち上げます。

    4. "Filter Select"から希望のものを選択し、"GO"を押します。
      ここで使用するのはAlです。(Au、Pt、ZnはBL調整用です)
       

    5. MCAの"dead time"を確認し、必要であれば厚みを変えて下さい。
      注意: 測定終了後、アッテネーターは"Nothing"を選択して下さい!!

  4. 結晶の蛍光スペクトルをとります。
    1. 操作するペアを"Trichro"のメインウィンドウ の"Used Trichromator Pair"から選びます。

    2. "Scan"ボタンを押すと、図のような窓が開きます。
      Trich Graph Window

    3. 次に、メニューのMeasurementからScanを選んでください。以下のような窓が開きます。

    4. "Anomalous Atom"で核種を選び、スキャンのステップを"fine"(0.0001Aきざみ) か"coarse"(0.0005Aきざみ)で選択し、測定方法を"Fluorescence"にして、"Integration Time"は デフォルトを参考にして適当な値にします。(より詳しい使い方については後述します)

    5. 設定できたら"Start"ボタンを押します。保存するファイル名を入力しした後、測定が始まります。
      始めは波長変更を行うのでグラフが動きません。フリーズではないので注いして下さい!

    6. 測定が始まると、下図のようなグラフが表示されてゆきます。
      Trich Scan Window

    7. 画面を拡大したりしてエッジやピークの波長を確認してください。マウスの中ボタンで、目的の波長のデータ点を中ボタンでクリックすると、グラフの下にある"Selection"の欄に 値が入ります。

    8. "Selection"ボタンを押すと、その波長にセットされます。

    9. この操作を2nd、3rdについて行い、エッジとピーク決定すれば、MAD法のデータ収集の準備は完了です。
      念のため、各波長の強度を"Tune"ボタンを押して、調整しておくと良いでしょう。 

  注意: 測定終了後、アッテネーターは"Nothing"を選択して下さい!!

3. "MADアシスタント"

labview_icon.gif (2459 バイト)

  1. PC(bl45pxl)のデスクトップから"ファイルコンバータ for MAD"を立ち上げます。
  2. すぐに開くファイルを聞いてくるので、先ほど測定したデータ(例えばXAFS.dat)を選択します。
  3. 保存する名前を聞いてくるので、別の名前(例:XAFS_conv.dat、XAFS.txtなど)を入力します。
  4. "MADアシスタント"を立ち上げ、先ほどコンバートしたデータを開いて下さい。

4. より厳密に波長を決めたいときの操作手順

  1. デフォルトの設定がない核種や、上記の方法でスペクトルがうまく取れない場合には、細かい設定を行って操作をしなくてはなりません。以下にはその方法を示します。
  2. まず、蛍光線が検出できているのかどうかを確認します。この操作にはマルチチャンネル アナライザー(MCA)を使います。2ndと3rdのペアの波長を期待される核種の吸収端の前後に 設定して蛍光線のエネルギースペクトルを調べます。
    1. "Rapid auto_sp8"からシャッターを開けます。
      "Manual"→"X-ray shutter"で以下の窓を開きます。

      上図の状態でOKを押すとシャッターが開きます。

    2. MCAでスペクトルを見ます。

    3. 吸収端の前後の波長のスペクトルを比較して、短い波長のほうでのみ蛍光線が出ていることを 確認してください。 
  3. 蛍光が見られない場合
    1. カウント(dead time)が10〜40であればよいと考えられます。
      カウントが少ない場合は、結晶が正しくセンタリングできていないか、Ampteckの 向きが結晶を外していて蛍光を拾えていないかが考えられます。また、Ampteckと結晶の距離が不適切なのかもしれません。
      カウントが高い場合は、Ampteckを少し遠ざけるか、アッテネーターを挿入してX線の強度を落します。

      (入射X線が強すぎる場合、散乱線によってS/Nが悪くなったり、パイルアップして定数倍の エネルギーの信号が見えるときは、正確に測定できない場合があります。このときは、Ampteckと 結晶の距離を長くとるか、アッテネーターを挿入してX線の強度を落し、 IC#2で0.5~1nA程度に調節すると良いことがあります)
    2. ここで優位なシグナルを得ることができなければ、スペクトルを取ることは 難しいと考えてください。
  4. MCAで蛍光スペクトルのピークを確認し、ピークのすそのチャンネルを決めます。
    (写真では赤が蛍光スペクトルのピークで、すそは308chと352chと決めた)
  5. この後の操作はWindows NT上の"Trichro"に戻ります。
    スキャンウィンドウを開いたら、 "Config"ボタンを押して以下のような窓を出します。
    スキャンは分光器の 設定のため、長波長側から短波長側に行います。このためステップは負の値になります。逆に入力してもこの方向に直して実行します。
    Discriminatorの値は、4で決めた値を入力し、"close"します。
    Trich Config Window
  6. "Start"ボタンを押します。保存するファイル名を入力しした後、測定が始まります。

5. 不具合への対処

 


目次


Home BL45PXーGuide BL45XU-PX TOP